花冷えですね
一昨日あんなに暖かかったのに昨日今日と冷え込んでます
みなさん風邪など引かないようお大事に
小雨のなか渋滞している病院の前の道を見ていたらふと思い出した話をしますね
もう何年前になるかしら・・・
朝から雨、雨、その上寒い。
日は早く落ちるようになってもう5時になると真っ暗だ。
うちの病院の前の通り、夕方から開かずの踏切のせいで大渋滞になる。
渋滞時はなるべく出かけたくないけど今日はどうしても出かけねばならず仕事中断で車に乗り込んだ。
すぐ譲ってもらって列に入ったはいいがなかなか前に進まない。
シトシト降る雨、こんな寒い日にフリーキャット達はどこで暖を取っているんだろう?
そんな事考えながら甘んじる渋滞の列。
ふと左前の路地から猫が一匹現れた。
力強い風貌、誇らしげな眼差し・・
ほお骨の張り具合から見てもきっと去勢されてないフリーキャットの♂だろうと思った。
道の端まで歩いてくる。
駄目駄目こっちに来ちゃ駄目っ!!
こちら側は停車している車の列、でも対向車側は踏切が開いたと同時にまるで待たされ続けた事の腹癒せのように一気にスピードをアップして車が走ってくる。
バッドタイミング・・・
その猫は停まっている私の車の2台前だろうかその車の前を横切った。
「あ“-っ!!!」 声にならない声で思わず大絶叫した。
彼は私の本当に目の前で対向車の下に巻き込まれた。轢かれたのだ。
大きい猫だったから音も大きかったけど、轢いた車は当然のようにそのまま走り去る。
私はすぐ左側に車を寄せ対向車腺真ん中付近に倒れたその猫の元に走り寄った。
その瞬間彼は立ち上がって、そう・・・大袈裟ではない。1m以上はジャンプした。
何度も何度も・・・
そして動かなくなった。
抱き上げてそのまま走って病院に戻った。
身体の方に外傷はない。
しかし口と目と鼻から夥しい出血、眼球は両眼半分突出していた。
抱き上げている私の手にはタコみたいに身体がグニャグニャになっている彼の感触がありありと伝わってくる。
彼を診察台の上に乗せ院長を呼びつけ・・・
彼の呼吸は消え入りそうな浅い呼吸になっている。
でも苦しそうな息・・・怖ろしい形相・・・
内臓破裂、頭蓋骨骨折・・・
聴診器を当てた院長
「もう駄目だよ・・」
「苦しいかな?」
「見たら判るだろ?」
「じゃあお願い、楽にしてやって・・・」
彼は飛天した。
まだ若い。
無性に悲しくなった。
まだ温もりの残っている彼を抱きしめた。
私も血だらけになっていた。
最初から野良猫だった子なんていないんだよね
ボーッとしながら血だらけのまま止めた車に戻ったら・・
怪訝そうな顔をしたおばちゃんに
「ちょっと、こんな所に車止めないでよ。警察呼んだ所よ」
すっすっすんません 直ぐどけます 2002/12/07